2014年8月23日土曜日

郡上八幡(宗祇水、他)

昨日まで、郡上八幡に行ってきました。「清流と名水の城下町、郡上おどりのふるさと」といわれていますが、それにふさわしい綺麗でこじんまりとした町でした。ここに行きたかった理由としては、「宗祇水(そうぎすい)」とよばれる日本名水百選の第1号に指定された湧水があって、それを見てみたかったからです。
ここは由緒正しき史跡で、文明3年(1471)連歌の宗匠・飯尾宗祇が郡上の領主である東常縁から古今伝授を受けて京へ戻るとき、当時の2大歌人であるふたりが、この泉のほとりで歌を詠み交わしました。
「もみじ葉の 流るるたつた白雲の 花のみよし野思ひ忘るな 常縁」
「三年ごし 心をつくす思ひ川 春立つ沢に湧き出づるかな 宗祇」
惜しむ別れを清泉に託した2首の和歌が残されています。
また、渾渾と湧き出る湧水の上には祠のような建物がありその下からたえず綺麗な水が湧き出ています。湧き出た水は、この地にある水舟同様、水源に近い方から、飲料水、米等洗場、野菜等洗場、さらし場に分かれており、大切に利用されています。飲んでみると表現は難しいですが、ほんとうに何かの宣伝のように「何もないたさない、何もひかない」すごく純粋な味でした。滞在中、ここには昼、夕方、夜、朝と寄ってみましたが、いずれも表情が違いすばらしい湧水でありました。







郡上八幡へのアクセスは電車だとあまり良くはないです(今はほとんどが車でアクセスするのだろう)。名古屋から特急を利用して岐阜経由で美濃太田まで約40分かかります。(今回の帰りは、高山線(単線)が落雷で踏切が故障したため、徐行になり2時間10分もかかりました。)次に、長良川鉄道(今は第3セクター)で郡上八幡まで約1時間20分かかります。この鉄道は1車両ワンマンの各駅停車のみ長良川を渡りながら上流の北濃までののどかな列車です(1両でも列車というのかな?)。この列車の運転手さんは大変で単に運転するだけでなく、整理券から運賃を払ってもらったり、途中、みなみ子宝温泉での入浴手続きの案内や、一日一本走る「ゆら~り眺めて清流列車」では、長良川の名所で徐行運転をしなければなりません。何でも一人でやらなきゃならないのでバスの運転手さんより大変そうです。郡上八幡の駅に着いて感じたのは、ここは昭和初期?というぐらいなんとも古くのどかな駅です。当然改札もなければ、ホームを渡る跨線橋は木製です。駅舎内には、国鉄の越美南線時代に実際に使用した鉄道用品などが展示されています。乗降客もまばらですが、このような鉄道は長く続いて欲しいと思います。





郡上八幡は、長良川に合流する吉田川とさらに吉田川に流れ込む小駄良川に挟まれた小さな町ですが、歴史は古く、戦国時代に遡るようです。
郡上八幡で有名なのは郡上おどりともう一つが、町の中央にある新橋から子供達が吉田川に飛び込むことではないでしょうか?実際覗いてみると14,5メートルあり飛び込むには相当な勇気がいります。この橋の中央には「不慣れな人は絶対に飛び込まないように!」と書かれていますが、普通の人はまず飛び込めません。







町の中はいたるところに水が流れています。水と水が上下で交差する面白い水路もあります。いずれの水路も綺麗に整備され、乙姫川の流れとそれに直交する「いがわこみち」の流れは、この町を代表する流れで途中には洗い場があったり、木の板で水路を変えたりできるようになっていて、この町の生活と密着しています。






郡上八幡は城下町です。翌日に郡上八幡城へ登ってみました。徒歩で30分程度ですが、暑いので結構きついです。お城の天守閣の頂上から町を見下ろすと、魚のような形に見えるとありましがた、まさにそう見えます。天守閣の中央に「日本一」の木が置いてあります。この木は、江戸、小石川にあった邸中にあった木が倒れ、そんの木の中に「日本一」の文字が現れた、それは吉兆の知らせだと言うことで、この地にもってきて積翠神社のご神体として祀ってあるそうです。(東京サイドでも一度調べてみる必要はありそうです。小石川のどこにあったのかな?)




そもそも郡上八幡の水はどのようにここに来るのでしょうか?郡上八幡地域は年間2,800mmの降雨量がある豊かな水源林に涵養され、縄文鍾乳洞に代表されるカルスト地形の石灰岩に浸透し、八幡市街に数多く湧出しているらしいです。そこで、町に流れ込む乙姫川の源流の方まで歩いて行ってみました。宿の方に聞くと、昔遠足で行ったそうです。歩いて10分と言われたので、そんなに近いのかとびっくりしましたが、まずは行ってみました。乙姫川は町中の整備された水路を滔々と流れています。川に沿って登っていくと、「県下初の水力発電所跡」と書かれた標識かありました。岐阜県で初めてここで発電をしていたのですね。ちょうどこの辺りにトリックライクな標識がり、そこにこの先の案内があるので乙姫滝と乙姫水神まで行ってみることにしました。




15分程度登ると急に涼しい風が、砂防ダムを越えると幾重に重なる綺麗な滝が現れました。これが乙姫滝です。マイナスイオンたっぷりの空気とぶるっとする程の冷たい空気がとても爽やかです。さらに登ると滝の上部に小さな祠があります。これが乙姫水神さまです。水神様へ渡る橋の手前に今は懐かしいオリエンテーリングのJのマーカーが立っていました。町から15分程度でこんなきれいな水に溢れた大自然の中に入ってこれるなんて、やはり日本は水に恵まれた国土だと実感します。






今年は連日の豪雨でこの辺りも道に土砂が流れこんでいました。この日の探索はこのあたりにして町へ戻りました。途中砂防ダムの上部に溜まった清流のほとりに2匹の御歯黒蜻蛉が戯れていました。胴体はエメラルドグリーンのとても綺麗な蜻蛉達でした。


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